2019年10月19日土曜日

Wien .3




なをみさん


人はいろいろな経験を昇華してゆくのだと思いますが、なをみさんはきっとそれが花に至る過程が早いんじゃないでしょうか。なをみさんの人生のどこかで私の経験と重なるところがあるから共感しやすいのかもしれません。美術品の鑑賞は、より広くて深い人生を送っている人かそれを補って有り余るくらいの想像力のある人の方が楽しめると思うのですが、それは作品の持つ何かがその人の記憶や感性に触れるからだと思います。
なをみさんが作業台で過ごす時間はとても長いけれど、その間花を通してあちこち精神世界の旅をしているんじゃないでしょうか。

ウィーンで彼の手紙を受け取った時、なをみさんが「その彼は私の相手じゃない」という意味の言葉を言ったのです。覚えているかな?
その言葉がずっと頭に残っていたのですが、それはきっと私の中でもどこかでその相手が自分の求めている人じゃないという思いがあったから、それをあっさり言い当てられてびっくりしたんだと思います。
何でもはいはいと言いなりになり、私の帰りをおとなしく待つような人は望んでいなかった、というのが本心ですが、コンさんに会うまでそれには気がついてませんでした。

さて、、、そのコンさんですが、昨晩夜中に私が何をしていたかというと、吐瀉物の再生です!!
彼は今医者の為のシュミレーション(模擬体験実習)のプログラムを総括しているのですが、今日喉の奥にチューブ式のカメラを入れる練習を新米のお医者さんにさせるために、マネキンの喉に偽の吐瀉物を入れて、カメラを入れた時にそれが口から逆流した時どうするかという練習をさせる事を思いついたのです。で、昨晩は二人して巨大なべ一杯の片栗粉スープに酢や片栗のダマを入れて吐瀉物らしい質感のものを作るべく試行錯誤してました。
どうせなら美味しいものを作って後で食べられるようにしたらどうかという私の提案はあっさり取り下げられ、掃除しやすいもの、チューブのポンプを詰まらせないものという条件でいろいろな硬さでわざとダマを作った片栗スープを何パターンも作りました。合計で15リットルくらいになります。
彼は早朝出発だったので私が一人で仕上げたのですが、月曜の夜中に偽吐瀉物を作っている自分に途中から笑いが込み上げてきました。人生って面白い。

これからあきらの迎えです。

陽子