2019年10月16日水曜日

Athens .2




なをみさん

なをみさんがマンダリンを探し回っていたのはよく覚えています。
食事が心配と言いながら、でも「これがあれば大丈夫だとわかったの!」と嬉しそうでした。おかげで私も旅の間ずっとマンダリンの恩恵に預かっていました。
それからクリーム系も追いかけてましたよ。あちこちで「え?これ本当に試すの?」と思うようなクリームたっぷりのケーキを平気で買っていたので、そのチャレンジ精神に恐れをなしていました。確かスペインがいい意味で期待を裏切るスイーツに出会えた国でした。
私の記憶ではなをみさんが食べられなかった物はなく いつも何かしら美味しい物を見つける人なんだと思っています。どこに行ってもその地の美味しい物を見つけられるというのはいい旅人の条件です。
なをみさんがインドでどんな美味しい物を見つけるか期待しています。

それにしても、なをみさんの一年は柑橘物で彩られているんですね。
私はニューサマーオレンジを食べたことがありません。今回の手紙で初めて名前を聞きました。どんな味なんでしょう?
金柑が出てこなかったですが、きっと食べていますよね?以前義理の妹のレストランで女性のパティシェが、私たちの為にシナモンやナツメグを混ぜたスポンジにホワイトチョコのクリームをのせて、その上に金柑の甘露煮を飾った小さなカップケーキを出してくれました。NYではけっこう使われる食材です。

ちなみに、西洋絵画ではレモンは再生、若返りという意味を持っています。それは少し古くなった肉や魚がレモンの汁をかけることで爽やかになる事からきているそうです。

香りの束縛。そうだとも言えるし、そうでありながら真逆の意味でもあるかもしれないですよね。だってこれだけ柑橘系に惹かれるのようになって世界が広がったのだから、解放であるかもしれない。でもそれはマンダリンを超える物を探してのものだから、やっぱり束縛になるのかな?


陽子