2019年10月16日水曜日

Athens .1




陽子さん

お茶の話しがでて、食べものの記憶も忘れられないことが多いものです
早速、27年前のアルバムをひっくり返しています
あなたとはツアーのどのへんから一緒だったのか定かではありませんが
食べ物の記憶も人生には大きな影響を及ぼすようです

ツアー3日目、ギリシャの朝食にオレンジが出ました
あまりの美味しさに、拙い英語で聞いてみると「マンダリン」
そういえば、そんな名前をジュースで聞いたことがあるな
早速、パークホテルから市場を探し果物屋をのぞいてみると、あたりまえだけれどどれも1kg売りから
覚えたてのギリシャ語で「エナキロ!」とマンダリンを買いました
その後も、北上してゆく旅の都市でマンダリンを探しまわって食べた記憶があります
最北はパリまでで、とても残念でした

思えば
そこから私の柑橘好きの旅がはじまった気がします
紅茶はベルガモットの香りのアールグレー
香水はベルガモットとシトラスレモンの入ったフェギア
年の初めに黄色くなったマイヤーレモンを塩で漬け
春にはニューサマーオレンジのジャムを作り
夏にはカボスの冷たい蕎麦を楽しみ
秋には早生みかんにそわそわして
冬には柚子の甘露煮をします
年がら年中柑橘類を探しています

たまに思う事があります、今ギリシャで同じマンダリンを食べたとしてもあんなに美味しく感じられないのかもしれないと、特別な旅の記憶とセットなので、あれ以上の美味しいオレンジには一生探しても出会うことが出来ないのかもしれないと・・・
そう考えると、あのマンダリンがもたらしたものは旅の記憶というより
脳に直結した香りの束縛
今もあのマンダリンを探し続けています

今日も暑い横浜より

なをみ