2019年10月11日金曜日

Hohenschwangau .1






なをみさん

こちらは明日大雪だというので、今日はこれから屋上に登って雨どいの落ち葉を掃除したり、屋根の点検をしてきます。
そちらは少し春めいているようですが、いかがですか?

なので、これは短い手紙になりますが書かずにいられませんでした。
というのは旅に孤独を感じる瞬間があったかというどころではなく「旅=孤独」なので、なをみさんの想像と全く違うんだなと思ったから早く伝えたかったのです。「孤独」は私にとってはネガティブな言葉ではありません。

私がNYに落ち着いたのは、長く繰り返した旅の生活がローテーションになってしまったので、心地いい孤独より窮屈な定住で自分を鍛えようと思ったからです。
私は私を理解して私自身に寄り添うために、自分と旅に出ていました。日本で人の中にあって孤独を感じるより、自分を孤独にすることで孤独を自分の選択によるものにしたかったという事もあります。

砂漠でたった一人、聞こえるのは自分の耳に当たって渦巻く風の音だけという孤独はとても心地よく、そこではじめて自分自身や人間を懐かしいと思い、そこに帰って行きたいというエネルギーをもらっていました。

「なかなかになお里近くなりにけり あまりに山の奥をたずねて」
室町時代の古歌だそうですが、ある時これを見つけてからなるほどなと思います。自分を孤独に追い込めば追い込むほどに自分自身や人間に近づいてゆく気がします。

ではまた!
陽子