2018年12月29日土曜日

“serendipity” la fleur - b1904 -

『100年後のコサージュ』

このメールには、私の知りたかった「100年後の私のコサージュ」の話がありました
私は、年間1000個~3000個のコサージュを作っています
もう何十年も作り続けているので、いくつ作ったかわかりません
それらは、人が着けているのを目にすることもなく、街に溶けていきます
どこに行くのだろう?とともに、ビンテージショップなどで見る、あらゆる国の手工芸のものは
どうして廃棄の運命を逃れることができたのか?
という正解のない問いを思い続けていました
ある時、大好きなビンテージショップのオーナーに
「たいして価値が無いものでも、今日まで残っている“もの”と
高くても残らなかった“もの”があるのはどうしてなのか?」と問うたところ
金額的な価値に関係なく「残るものは残るべきして残る」という答えでした
物やデザインは時間というふるいにかけられて、必ず淘汰されていきます
私のデザインした世界もこの世界のどこかで淘汰されると思っています
そして創るからには、その形の最後があります
イランの指輪の話には「100年後の私のコサージュ」の最後が描かれていると感じました
それとともに、日本に帰り着いたときその指輪は
イランの家族が込めた祈りを使い果たし、生命が閉じたのだと思いました
創ったものの生命とは、美術品になればなるほど、
命を削って作ったものの本来の力が発揮されるものだと思っています
この話にはもう一つ、指輪の淘汰と重なるように
新たに創られる物との螺旋を描くような”物体”の運命が見えました
永遠と続く、物の誕生と死について
*************************************
*************************************
透けるように薄いシルクの花びらと、
うつむきかげんに咲く花が一つになったブーケです
儚いような凛としたような、二つの感覚の入り混じったコサージュです
カラーはオフホワイトのグラデーションの一色のみです
枝部分はsimmonとコラボレーションをして製作しました

茎とピンが一体化した仕上がりになっています